――伸昭の家
――ノブ君が居るから安心できるの!――
ベッドから微かに聞こえる秋奈の寝息。やたらと響く時計の針の音。そんな音の中で伸昭はベッドに背を向け座っていた。
立てた片膝に両腕をのせ顔を沈めるとますますそれらの音がはっきり聞こえた
しばらくして寝息が小さく呟く言葉に変わり、伸昭は顔をあげ秋奈に目を向けた
「…秋ちゃん?」
彼女は目を閉じたままで返事なく、かわりに呟く声がだんだんはっきり聞こえ始めた
「…やだ…いやや…」
「秋ちゃん…?!」
眠ったまま首を横に振る秋奈。悪い夢を見ているらしい
「やだ…いやだ!!!」
最後に大声をあげた瞬間、はっと目が開かれた。ゆっくり体を起こしたがまだ呼吸は荒く、震えていた
「…いや…!…怖い…!怖い…!」
そう繰り返し秋奈は自分の両腕で震える体を抱きしめた
「秋ちゃん」
突然の出来事に伸昭は戸惑っていた
「いやだぁ……独りは…嫌…!」
「大丈夫やから落ち着いて」
そしてベッドに腰かけ秋奈と向かいあい肩に触れた
「いやっ!!」
秋奈はその手を払おうとし泣きながら首をふる
「秋ちゃん!」
伸昭もまた彼女を落ち着かせようとしたが秋奈は嫌がりもがくだけだった