ちょうどその時、帰ってきたちひろはいつもとは違う雰囲気を察したのか慌てて姿を現した
「どうしたん?!」
ちひろが声をかけたが伸昭は何も答えず秋奈から目を離さない
「やだぁ…ぐすっ…嫌やぁ…!独りにしないで…!」
「秋ちゃん!」
「独りに…しない…」
「落ち着け!!秋奈!!!!」
伸昭は両手で秋奈の頬を包みまっすぐ自分の方をに向けた
突然部屋は静まりかえり、秋奈ははっとしてまっすぐ伸昭の目を見つめ、荒かった呼吸もだんだん落ち着きを取り戻していった
「…大丈夫」
「…のぶ…くん…」
「俺はここに居る。大丈夫。怖い奴はもう来ない。誰も秋ちゃんに何もしないし俺がさせない」
「…独りはいや…」
「うん、だから俺がここに居るやろ?」
伸昭が秋奈を抱き寄せると、彼女は小さな子どものように泣いた。しばらくしてその泣き声はまた、静かな寝息にかわっていった
* * *
「なんか…普通に笑ってたから本人は気にしてないのかと思ってたけど…やっぱりこないだのこと、相当怖かったんだね」
伸昭の腕の中で安心して眠る秋奈を眺めちひろが言った
「そうやな…」
「なのに…昨日せえちゃんと何かあったのかな」
「…」