──「私、福崎くんに告白するの」
昨日からずっと、天野さんの言葉が頭をめぐる。
何でこんなに胸が痛いんだろう。
ケイタのことなんて、どーでもいいはずなのに。
可笑しいよ、私。
ネックレス貰って嬉しかったり、ケイタの家に行ったり。
どーかしてる。
「ユキ、どーしたの?」
「え、あ、いや。何も」
げた箱の前で立ち止まっている私に、ケイタが声をかけてきた。
そして私が靴を履き替えて歩きだそうとした時だった。
「あのっ、福崎くん……」
「あ、マネージャーじゃん。どーしたの?」
ケイタに声をかけてきたのは天野さんだった。
「ぶ、部活終わったんだし、マネージャーって呼ぶの止めてほしいなあ」
「ああ、そーだね。ごめんごめん」
ふと天野さんは私の方を見たあと、すっと目を背けた。
「何か用あった?」
「あ、いや……何も。じゃ、おつかれ」
そう言うと、天野さんはその場から走り去っていった。
その時私は酷く罪悪感に襲われた。
いくら付き合ってないって分かってても、こうして一緒に帰ろうとしてるのを見るのは辛いよね。
一緒に帰るの止めよう。
ケイタが勝手についてくるんだけど。
「……ごめん。私寄るとこあるから先行くね」
「え。俺も行く!」
「来なくていい。じゃあね」
私は足早に玄関を出て家路についた。
それからしばらく、帰る時は何らかの理由をつけてケイタと一緒に帰らないようにした。
そうしたら天野さんとケイタは一緒に帰るようになって、私が理由をつけなくても自然と天野さんとケイタは一緒に帰っていく。
一緒に登校することもなくなった。
うん。これでいいんだよ。
これでいいんだ。
でも、その2人の姿を見ると胸が痛むの。
正しいことをしてるはずなのに、どうして?