もう、行き場はないんだ。
この先になにがあったとしても。
これからの二人に何が起ころうとも。
私は、君を選べない…。
選ばない…。
君が笑うその、無邪気な笑顔に私は似合わない。
君が全てを許すその心に私はかなわない。
きっと、私に足りない全てを君が持っていたから。
私と君とで完璧な一人の人間になれていたのに。
君の真っ白なその心に私はあまりに黒すぎて。
君の心を汚してしまいそうで。
「桜が綺麗だね」
君が春に言った言葉が、頭の中から離れない。
少し悲しそうに、優しく笑ったその顔を忘れることができない。
なぜ涙を堪えたの?
「別れよう」
そう言った、私の顔を泣きそうな笑顔で見送ってくれた君が。
本当はたまらなく愛しかった。
愛してた。
ただ、君は私には綺麗すぎたんだ。
私は君を汚してしまう。
君を汚さないことが私の君への愛なのだと。
いつか気付いてくれるといいな。
もう一度、桜が咲くその季節に。