[白銀の王国]
魔竜が去った後、恐る恐る人々は北門へ駆け寄り、怪我人の救出にあたった。
リシュアも手伝っていたが、次第に戦いの影響か力が入らなくなりその場に倒れ込んだ。
リシュアは夢を見た。
遠い遠い国と幼い自分。
一面白く冷たい雪が覆い、吐く息も瞬時に凍る。
雪のかきわけられた一筋の石の道が目の前に伸び、振り返れば大きな城がそびえ立っていた。リシュアは石の道の先に目を戻しそこに何かの影を見る。
(人?)
王国の紋章である白銀の剣に金の竜…甲冑には胸に兜には額に、そして腰の剣の鞘にもそれは刻まれ、雪の中でもその姿は白く光をおび高貴と威厳を醸し出す。
光放つ人影は馬に騎乗し、リシュアに背を向けて道をゆっくりと進む。
「父上!」
はっとして、リシュアは駆け出し影を追うも一向に差は縮まらない。