幼い自分が腹立たしい。
いくら早く走っても父には追いつかない。
あんなに馬はゆっくり進んでいるのに。
そこへまた別の影が、リシュアの脇を駆け抜けた。
馬に乗る鎧姿の4つの影。
鎧すべてに父と同じ紋章が刻まれている。
「兄上たち!まって!私も行きたい!置いていかないで!」
兄達は父に並びいつしか城の門にたどり着く。
兄達が先に門をくぐり抜け消えていく、父が門をくぐる前にリシュアに振り向いた。
止まった父に追いつこうと必死に走るが足が思うように進まない。
『剣を守り剣と共に戦え、それがお前が生き延びるたった一つの道』
父はそう言うと兄達と同じ様に門を抜け消えていった。
どれくらい時間が経ったのか、リシュアは目を覚ました。
ぼやけた視界が徐々に明るく鮮明になる。