2人は手を繋いだままいろんな場所に向かった
――花屋
「この青い花、好きやな。この色好きやし」
「…青が好き…」
「お!秋ちゃん、この花似合うね」
「ほ、誉めても何もでないよ!」
「はいはい」
――クレープ屋
「俺はチョコにしようかな」
「チョコバナナ?」
「いや、バナナ嫌いやねん」
「へー…バナナが嫌い…」
「秋ちゃんは?」
「え?あ!うちもそれ!」
「わ、真似やん」
「ちゃうもん!決めてたの!」
「あっそ」
――本屋
「あ!この漫画おもろいねん。くだらんけどたまに泣けて…でも秋ちゃんはこんなん読まないか」
「そ、そんなに面白いん?」
「うん」
「じゃあ…読みたい」
「ほんま?じゃあ…今度貸したるわ」
「…うん!」
――服
「お!これ似合うんちゃう?」
「こんなの着ないよ」
「冗談冗談。あ!これは?可愛いやん」
「…ほんまに?」
「うん。似合う。俺はそういうの好み…って別に関係ないか」
「…でも、うちもこの服は好き…かな」
「ほんま?」
“元カノ”を見かけるたびに2人は笑いながら姿を隠した。そして、伸昭に手をひかれながら秋奈は彼と同じものを見て、触れ、彼の好きなもの、嫌いなものを記憶していった