「どうしたの?急に。」
首をかしげながら
私に紙コップを差し出す。
「べつにー…。」
紙コップの中で
湯気を立てている
ミルクティーを
少し飲んでみた。
やっぱり熱い。
目の前にあるミルクティーと
目の前にいる、この男は
不釣り合いに感じた。
「甘…。」
「そうかな?」
男は少年のように笑う。
「先生、子供みたい。」
「大人です〜。教師です〜。
それは見た目のことでしょ?」
「私と同じ年にみえるー。」
「それは…大人の事情だ!」
「先生、好きだよ。」
「は?!」
突然の言葉に、
先生は私を凝視しながら
顔を真っ赤にして固まった。
「そういうとこ。」
私は笑うと、
生徒指導室のドアを開けた。
彼女がいることくらい
知ってるからさ、
せめて、好きって言わせて。