「純弥!」
「・・・るさい、な・・・ゲホッゲホッ」
ドアを勢いよく開けて名前を呼ぶと覇気も殺気もない声で文句を言われた。
「五月蝿いじゃないよっ、咳も酷いし、声だって掠れてるのに・・・何で呼ばなかったの!?」
純弥はばつの悪そうな顔をした。
「自分、の・・・体、ゲホッ の事は、一番・・・っゲホゲホッ」
白河の言った事は本当だ。純弥はワガママであたしが思うに生意気だと思う。でも、最近土日も一緒に過ごすようになってからその他のイイとこも、悪いとこも沢山見つけた。意地っ張りだけど、意外と頼りになったりする。
そんな、純弥に好意に似た気持ちをいだくようになった。
「あー・・・もう、ホンッとにあんたは・・・」
(人間の限界を知れ!)
そう思ったが今はこの意地っ張りの身体の方が大切だ。きっとさっきより熱も上がっているだろう。
麗久は取りあえず持ってきた氷枕を純弥の頭の下に入れた。しかしこれだけでは熱は下がらないだろう。家にある物は限られている。
「今、お粥持ってくるから、それ食べてて。あたし、買い物行ってくる。」
麗久は下からお粥を持ってきて純弥の体を起こして近くに机を寄せた。
「食べ終わったらそこに置いといて。ちゃんと寝てなよ?」
「待っ・・・・」
純弥が「待って」と言い終わらないうちに麗久は部屋を出て行った。