その男は、全く役に立たないと、皆から嫌われていた。
そんなある日、その男が出勤途中で交通事故に遭い、病院に搬送された。
しかし、重症だった上に救急車の到着が遅れた為、男は脳死状態に陥ってしまった。
けれど両親も死に、兄弟も妻も子供もおらず、同僚からも嫌われていた彼には、病院に来てくれる者はいなかった。
医師たちは彼の所持品からドナーカードを発見した。
ドナーカードには、臓器提供の意思があることが示されてあった。
医師たちは、男の意志を尊重し、男の臓器を全て移植に使うことにした。
移植手術は、全て成功した。男のお陰で、沢山の人間が救われたのだ。
しかし、その1週間後、男の臓器を移植した患者が全員死亡した。拒絶反応を起こしたのだ。
男は最期の最期まで嫌われていたのだった。