一方、部活中のカズヒロは、一生懸命練習に励んでいた。
少し、アキへの想いを練習にぶつけているように見えたが、ユウタは黙認する事しかできなかった。
ファミレスにいるアキとタクヤの間には、張り詰めた空気が流れ始めた。
「好きです。」
この言葉からだった。
『えっ…どういう事ですか?』
「僕はアキさんの事が好きです。」
まさかの…告白…
『タクヤ先輩の事はとても優しい人だと思っています。でも私には…好きな人がいるんです。』
タクヤは、ひどく悲しんだ。
「そうか…好きな人が…。」
『ごめんなさい…。』
アキはそう告げると、逃げるように店を出ていった。まさか、タクヤ先輩から告白されるなんて、夢にも思わなかった。
それより今、カズヒロは私のこと、どう思ってくれているのだろう。
アキはカズヒロがどう思っているのか疑問に思いつつ、東京を後にした。
アキがいないファミレスに未だ残っていたタクヤは、こぶしを強く握り締めた。
悲しみから一転、怒りの感情に変わった。
「東条アキ…いい女だ。」
こう言葉を残して。