「告られて……付き合うことにしたんだ」
「え?」
やっぱり、ね。付き合うんだ……。
分かってた、分かってたけど……やばい、泣きそう。
泣いてる顔を見られたくなくて、私はケイタに背を向けてこぼれてきた涙を拭った。
「なーんて、嘘!」
その言葉に驚いて、私は振り向いてケイタを見た。
「は? 嘘?」
「うん」
「な、何で嘘つくの?! 馬鹿じゃないの?!」
何で嘘つくかなあ!
ムカつく……。
でもほっとした。よかった。
「何で泣いてんの?」
「あ、いや、これは……」
ケイタは私の目元に手を伸ばして、セーターの袖で私の涙を拭った。
「俺が天野さんと付き合わなくて嬉しいんだ?」
「な、何言ってんの?!」
天野さんには悪いけど、嬉しい気持ちはある。
なのに何で素直に言えないかなあ……。自分の気持ち、伝えなきゃいけないのに。
「ユキは覚えてるかなあ。半年前なんだけど。俺シュートミスって、ボールどっか行っちゃってさ。探しに行ったら、ユキがボール拾ってくれてたんだよね」
──「はい、ボール。部活、頑張ってね」
──「……ありがと」
「それで一目惚れしたんだ