08.
男たちの唸り声をあげながら2人に襲いかかってくる。
その男たちの中に最初に飛び込んだのはケイゴだった。
ケイゴは素早く1人の正面に移動するとその男の顔面に拳を食らわし、ケイゴの後ろにいた別の男を後ろ蹴りで倒す。
一方レイはケイゴと同じく体技で戦っていたが、相手の多さに苦戦している様子だった。
「これじゃキリがない……」
呟くとレイはその場から積み上げられている木箱まで飛び、そこから男たちを見下ろした。
男たちはレイに向けて発砲するが、レイは電気の壁を作って防御した。
そして右手を上に上げて、力を込めた。
するとレイの頭上から180度を囲むように電気の槍が現れ、その矛先は男たちに向けられている。
レイが上げていた手を男たちに向かって振り下ろすと、電気の槍は凄いスピードで男たちの体に突き刺さった。
「う、ぐ、ああ!」
「があ、っ!」
男たちの体に電流が流れ、男たちは気を失って次々と倒れていく。
「あーあ、可哀想」
下からケイゴの声がする。
ケイゴの後ろには、青あざや傷を作って倒れている男たちの姿があった。
「人のこと言えないでしょ」
そう言うとレイは木箱から飛び降りて、ケイゴの隣に着地する。
すると2人の正面から靴音が聞こえてきた。
2人がその方向を見ると、今回のターゲットのトドロキの姿があった。
40代後半と見られるトドロキは中肉中背の体に毛皮のコートをまとっていて、かけていたサングラスを外した。
トドロキは倉庫内に倒れている男たちを見、丁度足元に倒れている男の背中を踏みつけた。
「うがっ!」
男があえぎ声をあげるとトドロキは踏みつけている足を上げ、今度は先程より強く男の背中を踏みつけた。
「ガキ相手に何て様だよ」
低い声で言うとトドロキは男の背中から足を退け、ケイゴとレイを見やった。
「お前ら、リイバーだな?」
「だったら何だよ」
トドロキを睨みつけながらケイゴが言うと、トドロキはサングラスを握り潰して放り投げた。
「死んでもらう」