―――一方、病室
美「…翼?」
翼「…」
相変わらず返事はなく、目も合わせてくれない
美(あかん…ここでくじけちゃあかん!うちが…うちが翼を支えなきゃ…)
美弥は一人で頷いてなるべく明るい声を出すことに努めた
美「翼、なんかほしいものとかある?それか、してほしいこととか。今やったら1つくらい翼のお願い、聞いてあげてもええけどなあ〜」
翼「…」
美「(負けるな…負けるな…)じゃあさ、退院したらどっか2人で行こうか。映画とか、最近行ってないしなあ…翼、見たいのある?」
翼「…」
美「(…うちが…うちが支えなきゃ…)あ…でも、今ってどんなんやってんのかな〜」
翼「…」
美「(負けちゃ…)翼…」
美弥は今にも泣き出したい想いを必死に堪え唇を噛み締めた
美「翼…」
ガラガラ
突然扉が開き美弥も翼も振り返った
美「たく…」
翼「…拓朗…」
勢いよく開いた扉とともに姿を現したのは拓朗だった
拓「翼、聞け。俺からお前に頼みがある」
そう言って拓朗は背負っていたギターを下ろした