――再びワン家
聖「熱…大丈夫なん?」
秋奈の前に腰を下ろしながら聖二が訊いた
秋「…うん、だいぶ下がったから…」
秋奈は下を向いたまま顔をあげない
聖「…そう。…秋奈」
秋「…」
聖「こっちを見て」
秋「い…いやや」
聖「秋奈」
秋「…だってわかるもん。聖二が言おうとしてること…それで…そしたら…うちは……うちは…聖二を…」
――聖二を傷つけなきゃいけない――
聖「…秋奈…」
ギュッ
秋「…え…?」
突然下を向いたままの秋奈を抱きしめる聖二
聖「大丈夫。俺はもう覚悟したから…ちゃんと聞いて」
秋「…聖二…」
聖「…お願い」
聖二がそっと体を引き離すと秋奈はまっすぐ目を見た。その目を見つめ返し、聖二は微笑んだ
聖「俺はそんなうまい言葉が言える人間でもないから、もうはっきり言うで」
ぎゅっと秋奈の口元に力が入る
聖「秋奈、俺はお前が好きや」
秋「…」
聖「ずっと自分の気持ちを無視し続けてきた…全部、自分のために。でも、それも今日で終わらせるわ。…だから、秋奈、お前の気持ちをちゃんと聞かせて」
聖二の表情はただ穏やかだった。そんな彼から目を離さず、秋奈はゆっくり口を開いた――