拓「まだ昨日練習しただけやから、まあ下手やねんけど…これから俺、絶対に上手くなる!」
ギターを弾き終えると拓朗が力強く言った
翼「…」
拓「だから、翼…お前は歌ってよ」
翼「…歌…」
拓「そうや!ギターが弾けなくてもお前には歌がある」
美「…拓朗…そうや!翼!あんたは歌えるやん!」
翼「美弥…」
嬉しそうに笑う美弥を見上げる翼の目に涙が浮かんだ
翼「美弥…俺は、まだ…夢を見てもええんかな…?まだ…希望はある?」
美「翼…当たり前やん!まだ諦める必要なんかないよ…」
美弥の目にも涙が浮かぶ
拓「そうや!翼!たかが20年ほど生きたくらいで、人生はこんなもんやなんて勝手に決めつけんなよ。死んだ方がマシやったかどうかなんてあと何十年も生きてみなわからんやろーが。夢も一緒。諦めた方が良かったかなんて結局やらなわからん」
翼「…ええんか?お前は俺の夢のために自分自身も将来も犠牲にして…この道は苦しいで」
その言葉に拓朗は穏やかに笑って言った
拓「犠牲じゃないよ…協力。俺は犠牲者じゃなくて仲間や。俺がお前が作りたかった音も弾きたかったギターも全部ひきうけたる」
2人は拳を突き合わせて笑いあい、美弥は翼を抱きしめた