人は一人では生きられない。
みな支え合って生きている――
そう気付かされた現在(いま)なら、
辞めた会社の上司や同僚、パートのババァ共の立場さえも、
考える余裕が出来る様な気がする。
みんな生きる為に必死なのだ――
守るべきモノの為に必死なのだと――
家路へ向かう途中、不意に胸の内ポケットの携帯が鳴った。
ユキエからメールか。
そういえば今日は、ユウの合格発表だったな。
《サクラサク。
リョウとユウ、二人とも合格してよかったわよね!!
今日は腕をふるうわよ!!》
ユキエのヤツ。
思わず頬が緩んだ。
そして、手短にメールの返事を送信した。
《チンゲンサイのおひたしも忘れずにな。》
その後のユキエからの返事を確認する事もせず、
俺は家路を急いだ。
―終―