――ワン家
「秋奈…秋奈の正直な気持ちを俺に…ちゃんと伝えて?」
そうして聖二は秋奈の頬を伝う涙を拭った
「…聖二…うちは…」
「…うん」
言葉に詰まり秋奈の目からボロボロ涙が溢れおちる
「…聖二に…いつも頼ってばっかで…」
「…うん」
「聖二が…おらんと…うち…」
そう言いかけて秋奈は口を閉じ首を横に振った
「…でも、」
「…」
「…でも…もうそんな自分も終わりにする。今度は…誰かに頼るばっかじゃなくて、うちも何かしてあげれるように…そうなりたい…うちが誰かを笑顔にしたい」
「うん」
聖二は変わらず穏やかに微笑んでいた。その目を秋奈はもう一度まっすぐ見つめた
「…うちは、ノブ君が好き。…ノブ君の隣に居たい…」
聖二は静かに目を閉じ頷いた。秋奈はしゃくりあげ、声を詰まらせながら“ごめん”と言った
「…それでええよ。ええねん。お前とあいつなら、うまくやれるわ…俺が保証したる」
そう言って聖二は微笑んだ
「…聖二…」
「…ほんまに、お前はよう泣くなあ〜ほら、鼻かんで」
「ぐすっ…せいじぃ〜…ぐすんっ…せいじは、優しいね…ぐす…」
「そうやな、俺は優しいよ」
そう言って聖二は優しく笑った