ケイタと付き合うことになった。
凄く嬉しくて、考えるだけでドキドキする。
「ユキ。何か嬉しそーだね」
「まあね」
「なーにー。教えなさいよおー」
ナナミはそう言うと、私の脇腹をくすぐってくる。
私はナナミから逃げようと走って廊下に出た。
「うわっ!」
廊下に出た時、教室に入ろうとしていた誰かとぶつかった。
少し離れて顔を上げると、そこにはケイタの姿があった。
「ユキ。おはよ」
「おはよ」
「あ、ケイタくんじゃん! 久々に見た」
ナナミは駆け寄ってくると、私の脇腹をつついて小声で言った。
「ねえ。結局あのあと、どーなったの? まさか、伝えてないとか言わないでしょーね?」
「あー、いや。それは」
何か言うの恥ずかしいなあ。
「あ。ナナミちゃんには言ってなかったよね?」
「何を?」
「俺とユキ。付き合うんだあ」
「え?!」
ナナミは驚いた顔をして、私たちを交互に見やった。
「そっかあ。よかった。おめでとー、ユキ!」
そう言いながらナナミは私に抱きついてくる。
本当によかった。凄い、幸せに思える。
「あ、マサト! ちょっと聞いた?! ユキとケイタくん、付き合うんだって!」
マサトの姿を見つけたナナミは、マサトを手招きしながら言った。
「まじか!」
「まじまじ」
「ケイタ。ユキをよろしくな」
マサトはケイタの肩を叩きながら言った。
「ラブラブだねえ、2人とも。ま、私たちには叶わないけどねー」
ナナミは悪戯に言うと、マサトと腕を組んで体をすり寄せる。
「ね、ユキ」
「ん?」
ケイタに呼ばれて横を向くと、ケイタの唇と私の唇が重なった。
「俺らだって負けてないもんね?」
「ちょっとー! 見せつけないでよ」
「そーだよ。馬鹿!」
なんて言ったけど、本当は嬉しい。相変わらず突然のキスだけど。
この幸せがずっと続きますように──
私は心の中で、何回もそう願った。