「自由席でいいですよ〜。」
幹事が叫ぶと、太一は俺の手をぐいっと引っ張った。
そして、伊織ともう1人の女子に絡む。
「向かいの席、いい?」
太一は爽やかな青年を演じた。
伊織の隣にいた女子が口を開いた。
「いいよ!って、太一君じゃん!!」
太一と俺はサッカークラブのレギュラーで、そこそこモテる。
「優君もいるし〜♪今日は練習休みなの?」
「まあね。たまには羽伸ばそうかな、なーんて。」
「ラッキー♪ウチのクラスで2人のファンの子がいるよ。サイン書いてくんない?」
「マジ?いいよ〜。」
爽やかそうに振る舞う太一に笑いそうになった。
「自己紹介遅れたけど、私は
西野 英子 (にしの えいこ)
って言うんだ!よろしく!」
すると、英子は伊織に言った。
「伊織ちゃんはこの2人も一緒でいい?」
英子は少し、不安げだったが、伊織はニコリとして答えた。
「全然いいよ♪」
俺達はホッと胸を撫で下ろした。
太一は伊織の向かい側に座った。
俺は英子の向かい側に座った。
英子が言った。
「あと、この子は、細川 伊織 ちゃん(^_^) この前、引っ越してきたの。」
伊織はペこりと頭を下げた。
「へえ〜よろしく!
俺は須藤 太一 ♪」
太一はにこっと笑った。太一に自己紹介するよう促されたので、俺も口を開いた。
『えっと…吉川 優 です。よろしく。』
俺は小さく礼すると、照れ臭いのもあって
『早く注文しよーぜ。』
と、みんなを促した。