俺と伊織の家は同じ方向だと聞いた。
焼き肉屋に行った後は、自由行動だった。
俺たちは、近くの店を見て回ったりした。
あたりが薄暗くなった。
「そろそろ帰ろっか。」
英子が言った。
自然と、それぞれ、帰る方面に別れた。
すると、俺と伊織は同じ方面だということに気付いた。
太一は、
「じゃあ、優、伊織ちゃんを頼んだぞ。」
と手を振っていた。
太一は英子と同じ方面らしく、送っていくようだ。
なんだか、不思議な気持ちになった。
『帰るか。』
「うん。」
隣には、伊織の姿があった。
俺の肩より、小さい。
『「あのさ…。」』
2人の言葉が重なった。
その瞬間、見つめ合った。
『伊織ちゃんが、先に話して?』
「…えっと、昨日、吉川くんに職員室で会ったよね…。」
俺が言おうとしていたことだ。
『うん。』
「気付いてた?」
『うん。』
「学校で会ったら、お礼言おうと思ってたんだ。」
『えっ、ああ。』
「ありがとうね♪」
『いや。』
「私、吉川くんのこと上級生だと思ってたし。」
『俺は、伊織ちゃんのこと、下級生だと思った。』
「2人ともか〜♪って、私って、そんなに、子供っぽい?」
『ん、まあ』
「ひどーい!」
伊織はぷんとほっぺを膨らました。
俺はつい、笑った。
カワイイ転校生と言うと、男子は、少し話しかけづらいと思う。
だけど、伊織は思ったより、気さくだった。