休み時間、英子ちゃんと話している伊織ちゃんをつかまえた。
『伊織ちゃん、ちょっと来て。』
「うん。」
廊下に行くと、俺は口を開いた。
『今朝は言い過ぎた。ごめん。』
「…!」
伊織ちゃんは少し微笑んだ。
「いいの。」
俺は弁当箱を渡した。
「食べてくれたんだ。」
『美味しかったよ。』
「ありがとう。」
沈黙が流れた。
「私、吉川くんのこと好きなんだ。
多分、はじめて会った時から。」
『…!』
「だから、今日、お弁当渡したりしたんだ。急にごめんね。」
『いや…。』
「これからも、友達でいてくれれば充分だから。」
伊織ちゃんは俺をじっと見つめた。
『…うん。』
けなげな子だなあと思った。