――伸昭の家
ち「ノブー暇ー」
伸「んー俺に構わずワン家に行けよ」
雑誌を読みながら伸昭はめんどくさそうに答えた
ち「ノブは行かないの?…春ちゃんから連絡あった?」
伸「んー…今朝メールきとった。“もう元気です”って」
ち「…他は?」
伸「…」
ち「…それだけ?」
伸「…やっぱ…俺の負けかな…」
その時チャイムの音が鳴った
ち「誰やろ?」
ちひろが立ち上がる
伸「ええよ、俺が出るわ」
ちひろをひきとめ立ち上がると伸昭は玄関に向かった。そしてなんとなく覗いた扉の小さな覗き窓から外を確認すると、すぐに扉を開けた
伸「秋…ちゃん…」
秋「ノブ君…」
扉の前に立っていた秋奈は息も荒くかなり汗をかいていた
伸「大丈夫?…あー…あがる?」
秋「ううん、いい」
伸昭は首を振った秋奈に心臓が重くなった気がした。次に秋奈の口から出る言葉に覚悟しなければならない、そんな気がしたのだ。しかし、秋奈が言った言葉はあまりに意外だった
秋「お願い、一緒に来て」
伸「…は?」
秋「一緒に来てほしいねん!」
伸「…どこに?」
秋「いいから!」
そうして秋奈は伸昭の手を握り走り出した
ち「ノブー…あれ?」