東京、渋谷。
「着いたね。」
『私109行きたい』
カズヒロは、アキのわがままに、付き合うことにした。
渋谷109。
年末セールらしいのか、店員が大声を張り上げている。
「うわ…こういうのテレビで見たけど…やっぱうるさい!」
カズヒロは女子のエネルギーに圧倒されていた。
アキは平然としている。
「こういう時耳が聞こえないっていいよな…。」
カズヒロは手話を使わずにつぶやくと、
アキに強引に手を引っ張られた。
『あっ…かわいい!』
「そうだな…かわいいな…。」
カズヒロはもう鎖に繋がれた犬状態。
『あの服もかわいいし…うーん、どうしよー。』
「アキの好きなヤツでいいから。」
カズヒロは満面の笑みを浮かべながら、対応していた。でも、アキは耳が聞こえない以外、普通の女の子なんだよな…。
そう思ったりもした。
次に、秋葉原。
なんと、アキがメイドさんのコスプレをしてくれた。「アキ…超似合うよ!アキ最高!」
カズヒロの盛り上がりに、アキもまんざらではないような表情をしていた。
『…お腹すいた。』
「じゃ、アキバでファミレス探すか。」
『そうだね。』
カズヒロは、手っ取り早くファミレスを見つけて、中に入った。