* * * * * *
秋が過ぎ、ちらちらと初雪がちらつき始めた――
街行く人の吐く息も白く、
冷え込んだ小樽の北風は、
マフラーを巻いた、あたしの頬をぴりぴりと刺激した。
カチッ―ー‐
隣を歩く聖人が、煙草に火をつけ、
ふぅっと煙を吐く――
『‥‥ゲホッ‥ゲホッ‥ゲホッ。』
聖人は数日前から風邪をひいたらしい。
『聖人。吸い過ぎだよ?』
『‥‥ん。大丈夫。』
今日は日曜日――
久々のデートなんだケド、
聖人の風邪がちょっと心配。
聖人は、もともと喘息持ちだから。
『もう少しだな。』
『えっ?!』
『クリスマス。』
ドキッ――
聖人に言われて、一瞬ドキッとした。
そっかぁ。
もうそんな時期なんだ。
久々のデートで緊張していたあたしは、
なんか、
一人でドキドキしてた。
『早いよね。
去年は、あたしの家で、ミズホさんとサトル君も呼んで、4人でパーティーしたもんね。』
『あぁ。そういや、アイツらと夏のカラオケ以来会ってねぇな。』
『えっ?!ホントに?!
サトル君とは、一緒にバイク乗ったりしてたんじゃないの?!』
『いや。サトルのヤツ、ミズホと付き合い始めてから、忙しいらしくてよ。』
『忙しい‥‥の?
あ‥そっか‥‥デートとかで???』
『知らねーよ。
アイツらはアイツらでよろしくやってんじゃねーの?』
『聖人?‥‥何で怒ってるの?』
『別に怒ってねーよ。知るかよッッ。』
『クスッッ。』
『何笑ってる?!』
『ムキになってる。』
『アホか/////』
そっかぁ。
ミズホさんとサトル君。
うまくいってるんだね。
お似合いのカップルだし。
大好きなバイクに乗って、聖人と2人で、いつもツルんで走っていたのに。
サトル君は、大好きなバイクよりも、
ミズホさんのコトを 大切に思っているんだね。
なんか、
ミズホさんがうらやましいな。
聖人は、
バイクとあたしと、
どっちが大事なんだろう――