少しずつ、クリスマス色に染まりつつある街中を、
聖人とたわいのない話をしながらゆっくり歩く――
『そういやこの前、うちの親父が、奈央の母さんトコで弁当買った時、釣銭もらうの忘れたらしくてよ、
後で気付いて、取りに行ったらしいケド、奈央の母さんに笑われたってヘコんでたぜ。』
『あはっ。そう言えば、うちのお母さんも言ってた。
聖人君のお父さんが、お釣りを忘れて行ったのよって。』
『ハハハ。うちの親父、奈央の母さんのコト、マジみたいだな。
やべーかも。』
『ヤバイ?!何で?!全然ヤバくないからっっ。
うちのお母さんだって、聖人のお父さんのコト、
前から好感持ってるしっっ。』
コウカンモッテルシ――
そう――
それは――
本当のコト――
そんなの、
お母さん見てれば分かるよ――
『もしかして、両思いだったりしてな?!』
『あは。そうだったりして。』
『ハハハ。面白れぇ――。』
聖人は、
冗談ぽく笑って、サラっと流してしまったけれど、
ホントにそうだったら――
ホントに――
どうなるんだろう――
お母さんにはお母さんの人生があるんだ。
だからその時は、
お母さんの幸せを一番に考えてあげたい。
いつも苦労をかけて、
心配ばかりさせているあたしが、
唯一、かけてあげられる言葉は、
たぶん、
そういうコトバ――
そして――
『奈央。』
『え?』
あたしは聖人からもらったコトバで――
『クリスマス。
今年は2人で過ごそうぜ。』
『‥‥うん。』
びっくりしたのと、嬉しかったのとで、
胸がキュンと痛くなった――
『プレゼント何がいいか考えといて。』
『うん/////』
聖人の手の温もりを感じながら歩いた小樽の街並みは、
うっすらと雪化粧――
クリスマスまでに、どのくらい積もるのかな。
ねぇ聖人。
ホワイトクリスマスだったら素敵だね☆