伸「どこ行くん?」
伸昭の手を握ったまま、なかなか秋奈は答えようとしなかった。そして、そのまま2人が着いたのは…
伸「…ここって…病院?」
秋「ベース、やりたいんでしょ」
伸「…」
秋「思い出してん。ノブ君さ、前に言ってたやんな。うちらのバンドがうらやましいって」
“ほんまみっきー達のバンドがうらやましいわ”
伸「あ〜…言ったっけ?そんなこと…」
秋「ただの遊びなんて言ってたけど、ノブ君もほんまはベーシストが夢なんじゃないん?」
伸「…」
秋「だから、夢に対してまっすぐな翼のことがほんまはうらやましかったんじゃない?好きなものを好きだって言えるうちらがうらやましかったんじゃない?」
伸「…」
秋「…ほんまはこないだまでの翼の気持ち、誰よりも共感してるの、ノブ君なんじゃないん?無理だってつきつけられる前にその夢、諦めようとしてるんやろ?だから、“ただの遊び”なんて“嘘”つくんや」
伸「…」
秋「ベースやりたいだけならバンドなんてどのバンドでもいいかもね。でも…夢があるならバンドも選ぶべきじゃない?」
伸「…」
秋「翼ならきっと夢叶えるよ」
伸「…」
秋「ノブ君も、翼の音楽、認めてくれてるんやろ?」