アイの実は、どんな味?2

萩原実衣 2011-03-29投稿
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「な、なにす…
(ん・だ・ょ…)」と言い終わる前に女は、
「そうやって知らんぷりして、気付いていたくせに、あんたみたいなヤツが、女をダメにするんだよ!」

そう、たんかきって去って行った。

知らねえ人間にひっぱかれた事も頭くるが、
人前でガキのように説教されたことのほうが恥ずかしかった。


何なんだ…

嫌な1日で今日が始まったな…。


俺は、バイト先に着いてもテンションが戻らなかった。

昼間は、宅配ピザ
夜は、コンビニの掛け持ち。

「おい!シン これ二丁目のスタジオ」
「うっす!」
「シン!今日、スタジオ結構有名なモデルがたくさん来てるらしいよ〜
お前、偵察!あっ!出来れば、写メ!」

気軽に話しかけて来るのは…2コ上の中嶋 保。

(何故だかタメ口でたもっちゃんと呼んでしまう)
「えっ!じゃあ〜たもっちゃんいけよぉ。」

朝の件もあり、今日、俺はあまり人が多い所に行きたくなかった。
(しかも女なんて…。)

「いやいや、シン!お前は、背も高いし、かっこいいから向こうも食らいつく確率が上がるってもんよ!」

(たもっちゃんの頭の中は、完全に合コン)

「とりあえず、行ってきす」


ピザの配達が遅れるわけに行かず、俺は、バイクで出た。

俺の頭の中は、今日、1日が早く終わってくれないかと願うだけだった。

スタジオにつくと、物凄い人の数だった。


どれがモデルかなんてわからないくらいだ。

たもっちゃん…諦めろと心の中で謝り、注文を頼んだ人を探した。

「あっ ピザ屋さん、そこの奥の楽屋に運んで!」
「はい!」

とりあえず、ピザを楽屋の机に置き、楽屋を出ようとした瞬間…。
「ドン!」

思いっきり、扉が開き俺はぶっ飛んだ。

「ごめんなさい!!大丈夫でしたか?」

「あっはい」
(やっぱり…今日はついてない)

俺にぶつかった人は、たぶん…スタイリストみたいな人だった。

俺は、立ち上がり帽子を拾いあげた。

「ちょっと…。待ってて」

その人は、走って行った。
そして、誰かを連れて来ると、俺の帽子をとった。

なんだか、二人が顔を見合わせていた。

「君、今から一時間付き合ってくれない?」

「いや…?バイト中」
「バイト代1時間で3万だす!」

「はぁ〜?」

俺は、とりあえず、バイト先に時間をもらった。
(3万は、でかい!)

「じゃあ、これに着替えて」
俺は、言われるがままに着替えた。

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