おにいちゃん、これおしえて?

misato 2011-03-29投稿
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「…………あぁ〜、いったぁーい」


わたしは頬を擦りつつ、職員室から出た。


「左藤先生の意地悪ぅ〜」


わたしの頬は今現在、赤く腫れている。


担任の左藤先生は、少し気に入らない事があると、すぐ殴る。


でも、左藤先生曰く、加減されていて……本気を出されるのを怖がって、誰も何も言えない。


左藤先生に殴られ慣れたせいか、他の先生に睨み付けられたり、怒鳴られても、平気になった。


「これは喜んでいいのかなぁ……」


思わずため息が出る。


「あの……」


不意に、後ろから誰かの声がした。


「何です…………え?」


「職員室の場所って、判りますか?」


振り向いた先にいたのは、一人の男の子だった。


「――――」


その男の子をみて、わたしは一瞬、思考が停止した。


「……どうか?」


「え!あの……こ、こっち」


わたしは、自分の頬が熱くかるのが自分でもわかった。


――――そんなはずない。


自分で自分に言い聞かせる。


そう。


そんなはずがない。


10年前の“四つ葉のクローバーの約束”の男の子と、こんなそっくりな子なんて!


「じゃ、じゃあっ、わたしは……これで」


「え、ちょっ――――」


職員室前に男の子を置き去りにし、わたしはその場から逃げるようにして去った。




いや。




逃げた。



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