秋「…そういうこと言って恥ずかしくない?」
その言葉にふっと笑うと、今度は伸昭が秋奈を追い抜かした
伸「めっちゃ恥ずいよ。あ〜今まで俺が誰かに言ってきた言葉ってほんまに気持ち入ってなかったんやなって。ほんまの気持ち、伝えようと思ったら言葉ないねんもん。何言っても伝えきれないみたいな?だいたいこんな俺の言葉が信用されるには…」
ぶつぶつ呟きながら足を進める伸昭。すると突然左腕を引っ張られ体が傾いたと同時に左頬に何かが触れた
伸「…なっ…」
頬に残る秋奈の唇の体温に驚いたまま伸昭はその頬をおさえた
秋「もうわかった。充分伝わった。信じる」
伸「…」
秋「…でもうち、めちゃくちゃ泣き虫だよ?」
伸「うん、知ってる」
秋「わがままやし」
伸「そうやな」
秋「可愛いげないこと言うし」
伸「うん」
秋「…強がりなうえに素直じゃないよ?」
伸「でも、俺はそんな秋ちゃんが好きなの」
秋「…ノブく…」
伸昭が首を振り“伸昭”と囁く
秋「のぶ…あ…き…」
伸「…おいで、秋奈」
顔を赤くした秋奈に伸昭は両手を広げてみせた
今度こそ自分だけのためにひらかれた両手
秋奈は迷うことなくその中に飛びこんでいった