――翌日 病院
慶「…みや姉〜翼君の服持ってき…」
今日は皆出払っていて、たまたま1人、ワン家に残っていた慶太郎が美弥の頼みを受けて病院にやってきたのだった。しかし、病室には美弥の姿はなく、寝ているだろうと思っていた翼がベッドに座って雑誌を読んでいた
慶「…」
翼「…」
互いに見つめあい黙る2人
――慶太郎は夢叶えたのに――
話を聞いていただけになんとなく慶太郎は気まずさを感じた
翼「おー慶太郎、まあ座りぃや」
慶「…は、はい」
慶太郎が座るとまた流れる沈黙。しかし少ししてまた翼の方から口を開いた
翼「…なあ慶太。お前は今、夢が叶って幸せか?」
突然の質問に一瞬戸惑ったものの、少し考えてからはっきりと答えた
慶「わかりません」
翼は驚き慶太郎に目を向けたが慶太郎はしっかり翼を見つめたままさらに続けた
慶「わからない…確かに俺はこんなでかい夢が叶って…でも、それで全てが叶ったわけではないし、実際叶わないことの方が多くて…それでも欲ってのはなくならないし。終わりがないんです。」
翼は慶太郎を見つめたまま、しばらく何も言わなかった