Part two # 運命 #
「――池内颯天です、宜しく!!」
一年二組の教室。
そこにある黒板の前で、転入生の紹介をしていた。
「…………」
黒板の前ではきはきと喋るのは、先程わたしに職員室の場所を訪ねてきた、あの男の子。
――四つ葉のクローバーの約束をした男の子と、よく似た子だ。
まさか転入生で……わたしのクラスにくるとは思わなかった。
「じゃあ……」
担任の左藤航先生が、教室を見渡す。
彼の席を決める為に。
その時、わたしと目があった。
――まさか、わたしの隣!?
急いで目を伏せる、と同時に先生が口を開いた。
「…………安田なつみの隣な」
――違った。わたしの名前は霜月初音、安田なつみではない。
呼ばれたなつみちゃんは、手を振って「ここだよー」とアピールしている。
それをみて、男の子――池内颯天くんは、なつみちゃんの隣……わたしの右斜め前に座った。
「じゃあ始めるぞ――――」
「なあっ」
放課後。
わたしは鞄を手に持ち、廊下を一人歩いていた。
すると突然、後ろから声がかかった。
「…………何??」
振り返った先に居たのは、池内颯天くんだった。――何か、朝のデジャウ゛?
「あ……朝は、そのっ――ありがとな!!」
「え……っ??」
呆然とするわたしを置いて、颯天くんは言葉を続ける。
「あの時、お礼言えなかったから」
「そ……そんなことを……わざわざ言いに来てくれたの?」
颯天くんは若干息が切れていた。多分、わたしを走って追いかけてきたんだろう。
何故そこまでして……。
優しい所……あの子と、似ている。
「――ねえ、颯天くん。10年前……この近くに住んでた事、あった??」
「は??」
思い切って、訊いてみた。
違ったら違ったでいい。ただ、はっきりさせたかった。
「……いや、あるけど。何で知ってんだ??」
「な……何となく訊いてみただけっ!――じゃ、じゃあまたねっ」
わたしは、言い終わるより先に廊下を駆けて行った。
やっぱりそうだったんだっ!
颯天くんが、あの時の男の子なんだ!!
疑惑は確信へと変わった。
――これって、運命……だったりするのかな??