おにいちゃん、これおしえて?

misato 2011-04-09投稿
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Part two # 運命 #



「――池内颯天です、宜しく!!」


一年二組の教室。


そこにある黒板の前で、転入生の紹介をしていた。


「…………」


黒板の前ではきはきと喋るのは、先程わたしに職員室の場所を訪ねてきた、あの男の子。


――四つ葉のクローバーの約束をした男の子と、よく似た子だ。


まさか転入生で……わたしのクラスにくるとは思わなかった。


「じゃあ……」


担任の左藤航先生が、教室を見渡す。


彼の席を決める為に。


その時、わたしと目があった。


――まさか、わたしの隣!?



急いで目を伏せる、と同時に先生が口を開いた。


「…………安田なつみの隣な」


――違った。わたしの名前は霜月初音、安田なつみではない。


呼ばれたなつみちゃんは、手を振って「ここだよー」とアピールしている。


それをみて、男の子――池内颯天くんは、なつみちゃんの隣……わたしの右斜め前に座った。


「じゃあ始めるぞ――――」













「なあっ」


放課後。


わたしは鞄を手に持ち、廊下を一人歩いていた。


すると突然、後ろから声がかかった。


「…………何??」




振り返った先に居たのは、池内颯天くんだった。――何か、朝のデジャウ゛?


「あ……朝は、そのっ――ありがとな!!」


「え……っ??」


呆然とするわたしを置いて、颯天くんは言葉を続ける。


「あの時、お礼言えなかったから」


「そ……そんなことを……わざわざ言いに来てくれたの?」


颯天くんは若干息が切れていた。多分、わたしを走って追いかけてきたんだろう。


何故そこまでして……。


優しい所……あの子と、似ている。


「――ねえ、颯天くん。10年前……この近くに住んでた事、あった??」


「は??」


思い切って、訊いてみた。


違ったら違ったでいい。ただ、はっきりさせたかった。


「……いや、あるけど。何で知ってんだ??」


「な……何となく訊いてみただけっ!――じゃ、じゃあまたねっ」


わたしは、言い終わるより先に廊下を駆けて行った。


やっぱりそうだったんだっ!


颯天くんが、あの時の男の子なんだ!!


疑惑は確信へと変わった。


――これって、運命……だったりするのかな??

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