クリスマスの日。
あたしの願いも叶い、
その日は、ちゃんとホワイトクリスマスになり――
『奈央。鷄の唐揚げ、たくさん揚げたから、たくさん持って行ってあげなさい。』
『うん。ありがとう。お母さん。』
母は、今日は、お弁当屋さんのお仕事がお休みという事もあり、
オードブル作りを手伝ってくれた。
『揚げ物は、お母さんがいない時に、絶対しちゃダメよ。
危ないからね。』
『うん。』
あたしが、クリスマスにオードブルを手作りするって言ったから、
母は手伝ってくれる為に、お休みをもらったんだ。
たぶん。
ううん。きっとそう。
『いいわねぇ。
去年は、うちにみなさんをお呼びしたけど、今年は聖人君のお家に集まるんでしょ?』
『そうだよ。また去年のメンバーなんだ。』
でも今年は“二人きりで”とは、
さすがに言えなかった。
だから、出来上がったオードブルを盛りつける時も、量がハンパじゃなかった。
う゛ぅ‥‥こんなにたくさん持って行ったら‥‥聖人びっくりするだろうな。
『お母さん。夜のお仕事もお休みだよね?』
『そうよ。クリスマスの夜くらい、奈央とゆっくり過ごしたいもの。』
そうよね。毎年、クリスマスの夜は、母と一緒にケーキを食べるのがお決まりだもの。
お母さんには――
『お母さんは、聖人のお父さんのコト、好きじゃないの?!』
『‥‥ちょっと‥‥奈央!!何を言い出すの突然!!』
自分の気持ちに正直になってほしい――
『前にも言ったけど、いい方よ。とても。』
『そういうコトじゃなくて。
恋愛感情のコトよ!!』
あたしの為に、母が気持ちを抑えてるのだとしたら、
そんなの、
あたしは嫌だもん。