奈央と出会えたから。<426>

麻呂 2011-04-10投稿
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『奈央。』



あたしの名前を一言そう呼んでから、



母は、じっとあたしを見つめ、こう言った。



『好きよ。お母さんが、奈央の次に好きな人よ。』



『お母さん‥‥。』



ニコニコしながら言われると――



そんな笑顔で言われると――



『お母さんてば。

なんか調子狂っちゃうよ。

そんな言い方ずるいよ。』



『どうして?

お母さん、奈央に本当の気持ちを言ったわよ?!』



『そう‥‥だけど‥‥‥。』



納得がいかない顔のあたし。



そんなあたしを見ると、



母は、笑いながら窓の外を眺め、



再びあたしを見て言った。



『お母さんの事、心配してくれてありがとう。

お母さんも、奈央には本当の事を話すから心配しないでね。

だから、奈央は聖人君とクリスマス、楽しく過ごしておいで。

ふたりで!!』



ドキッとした――



『お母さんっっ‥‥

何でっっ?!

ふたりってっっ???』



知ってたの?!



どうしてっっ???



『ふふ‥‥。あんたの顔みてれば分かるわよ。』



信じらんない。



『別に隠す理由ないケド‥‥。

お母さんに余計な心配かけると思って‥‥‥。』



母ってすごいと思った。



『お母さん、奈央の事、信じてるからね。

言いたい事、分かるわよね?』



『うん。ありがとう。』



そんな母には幸せになってもらいたい。



『奈央。』



『え?!なぁにお母さん?!』



少しは自分のコトだけ、考えてもいいんだよ。





『エッチした?』



『しっ‥しっ‥‥してないよっっ!!』



あたしも、



母と聖人と、どちらが大切かって聞かれたら、



二人とも、



とても大切なヒトだケド――



『しつこいかもしれないけど、自分を大切にする事!!』



『お母さんの言いたいコトは分かるケド!!』





産んでくれたヒトは、



ただ一人だから――

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