3月も終わりに近付き、終業式の日。
あれからずっと、明日香はこないし、学校でも話さなくなってしまった。
しのたくはそれはそれで勉強に集中するのかと思ったが、意外と集中できない毎日が続いた。
そんな毎日は嫌だ。しのたくは放課後、明日香と話すことにした。
放課後、食堂。
2人は集まったものの、長い沈黙が訪れてしまった。でも、しのたくは心に決めたことは言わないと、と思って、明日香に話すことにした。
「あのさ…。」
「……。」
「俺確かに下がった。合格判定。AからDに。でも、君のせいじゃないんだ。やっぱり、俺自身の問題なんだ。」
「分かってるけど、篠原くん自身の問題なら、私は…。」
「明日香さんに言ったこと、覚えてる?」
しのたくは、指を使って「1」を示した。
「ひとりぼっち同士が繋がると、ふたりになる。」
しのたくは次に「2」を示した。
「ふたりになれば、支え合ったり、助け合うことが出来る。」
「…。」
明日香は黙っていながらも、笑みが零れてきた。
「俺とずっと一緒にいてほしい。」
ドクン。
矢でも刺されたかのように、明日香の心に衝撃が走った。
「俺やっぱり、明日香さんがいないとダメだなあ。」
その一言を言って、しのたくは明日香を抱きしめた。自分中心になること。それは、「ひとり」になってしまうことなのだと、しのたくも明日香も、気づいたのかも知れない。
桜の蕾も、少しずつ膨らんでいる頃の、しのたくの恋だった。
〜エピソード3、おかたくの戦いへ〜