――聖「あーあ、いきなりあいつら捕まっちゃって」
一方、聖二は草むらの裏に隠れ猛と波音が連れて行かれるのを見ていた。突然、隣に人の気配を感じ振り返ると秋奈が同じように猛達を見つめていた
聖「…何してんの」
秋「…隠れてんの」
聖「…見りゃわかるけど」
秋「うん」
聖「…伸昭は?」
秋「…んーどっかに居るんちゃう?」
聖「…そう」
秋「…」
聖「…で、何の話?」
秋「え?」
聖「お前がわざわざ自分から俺のとこにくんのは、いつも言いたいことがあるからやろ?」
秋「うん。…聖二、いっぱいごめんね」
聖「…」
秋「…でも、今までいっぱいいっぱいありがとう」
はっとして聖二が顔を上げたと同時に秋奈は立ち上がり彼を残して去って行った
去っていく秋奈の背中を聖二はずっと眺めていた
* * *
一方、別の場所では光希と慶太郎が同じように隠れていた
光「…たまに思うんだよねー」
慶「…何を?」
光「…あそこに楽しそうな家族いるでしょ?うちにはああいう幸せはこないんやろなあ…って」
慶「…」
光「ああいう平凡な幸せとひきかえに今の夢を手に入れたんだもん、私も慶太郎も。仕方ないよね」
慶「…うん」