11.
6年前。
朝、怒鳴り声で目が覚めた。
両親が喧嘩しているのだろうかと思ったが、よく聞くと両親ではなく複数人の男たちの声だと分かった。
「ケイゴ。ここに隠れてなさい。絶対に出てきちゃだめよ」
突然部屋に入ってきた母からそう言われ、何がなんだか分からないままクローゼット入れられた。
クローゼットの中から耳を立てて聞いていると、何を言っているか分からないが、両親と男たちが何か言い争っているようだった。
「止めてください!」
母の声だった。
刹那、銃声。続いて連続して3発。
銃声がなると家の中は静かになった。
「父さん……母さん……」
ケイゴはクローゼットから出て部屋の扉を開け静かに階段を下りた。
そこから見えたもの。それは銃で体を撃ち抜かれ倒れている両親の姿だった。
「おや。子どもがいたんだ」
その声にケイゴはビクッとしてその方を見る。
そこにいたのは銀色の髪を背中までたらした男だった。
その男の後ろには5人の黒服を着た男がいて、そのうちの1人は拳銃を手にしていた。
「お父さんとお母さん、死んじゃったよ?」
銀髪の男は微笑しながら言った。
「キミも、お父さんとお母さんのとこ行く?」
殺される。ケイゴはすぐに思った。
銀髪の男がゆっくりと近づいてきて、ケイゴは後ずさりしながら男から離れようとするが、しばらく行くと背中に扉がぶつかった。
逃げ場は、ない。
「逃げていいよ?」
男はまたしても笑いながら言った。
ケイゴは扉を開けて外へ飛び出した。
「鬼ごっこだ!」
後ろから男の声が聞こえてきて、ケイゴは男に捕まらまいと必死に駆ける。
だがケイゴはまたしても逃げ場を失った。
目の前は行き止まりだ。
するとその時、後ろから飛来してきた何かがケイゴの右腕を切り裂いた。
ケイゴはその場に倒れ込み右腕を見ると、そこからは血が流れ出ていた。
「ゲームオーバー、だね」
もう終わりだ。そう思った。