あれから那由多の日々が過ぎ
わたしは今でも
思い出す
あなたは彼に仰った
振り返ってはならないと
彼の地にある
何も省みてはならないと
でも
わたしにとって
置いていくには
あまりにも
彼の地で生きた
時間は長く
わたしには
あの悪徳さえ懐かしく
その罪悪すら愛おしい
ああ
言いつけを破ります
轟音
怒号
赤と黒
熱風が
硫黄の臭いを運んでくる
翼がはためき
御使いが
剣を振りおろす
ああ
なんて
きれい
わたしの街
そして
わたしは
わ
たし
は
そしてわたしは此処に立ち
今でもずっと立っている
わたしにパンは与えられるだろうか?
葡萄酒は与えられるだろうか?
いつか
いつか
あれから那由多の日々が過ぎ
私は今でも
乞い、願う