デカ女は、いつものように淡々とスタジオに入ってきた。
「社長 どうですか?スポンサーに連絡入れますか?」
やっぱり…RIONA とは…信じがたい。
「秦くん、あなた この後時間ある?」
「あっ、はい」
「呑みに行きましょ。織あなたも一緒に付き合ってよ」
「いえ…。私は…」
「たまには、いいじゃない!ねっ!」
「わかりました」
俺たち三人は、普通の居酒屋に入った。
でも、さすが社長クラスは、奥の個室に通された。
他愛のない会話が続き、猛烈な誘いのあらし。
が…オレも断り続けた。
その時、社長が真剣な面持ちで話しだした。
「秦くん。写真集見たんだって?RIONAの。」
「あっ…は、はい」
まずい…。気まずい!!
デカ女は、表情変えずに酒を呑んでいた。
「この織が、RIONAには見えないもんねぇ。この子なんで、別人に見えるか?わかる?」
「…」
「心が空っぽだからよ。今やナンバーワンの社長秘書だけど、それは事務的な仕事だからよ。もっと輝いていたの!あの事がなければ…。」
「社長…その話は…。」
「そうね。でも、あなたにもう一度輝いた姿を見たいのよ。そろそろ、その時よ。あなたは、天性のモデルなの!自分でもわかっているはずよ!」
社長は、熱く語り、俺の存在を完璧に忘れてデカ女を口説いていた。
社長が…絶好調になった時に彼氏?からの電話で俺たちを残して帰ってしまった。
「もう少し…。呑む?」
デカ女のほっとした表情が可愛くみえてしまって、思わずOKしてしまった。
すぐに 我にかえったが。
「村上くん。あなたは、物凄い人を惹き付ける眼と指定された人物に成りきれる力がある。今日の写真をみて自分じゃないと思ったでしょ?」
「はい」
「これからもっと変わるわ。社長は、あなたの秘めた力がみたくて、あんか課題をだしたのよ」
「私は、燃えつきちゃったのかもしれない。仕事も私生活も?」
俺は、あえて何も聞かなかった、しかし、気になって仕方がなかった。
また、自分をこんなにも評価してくれる事は、本当にうれしかった。
街中で怒鳴るデカ女が何だか、普通の女に思えてきた。
俺の心は、いろんな形で変わっていった。
1週間後、コンビニに寄って俺は、唖然とした。
雑誌の表紙に写っていたのは、俺 だった。
何故だ!!なんでだ?
恥ずかしくてコンビニを飛び出した。