「みーくんって、彼女とかいないの?」
2月のある日、みーくんは突然有馬に聞かれた。
「今はいない。」
「そろそろ…恋しても…いいんじゃないか?」
有馬の問いかけに、みーくんは戸惑った。
あんな過去がなければ…。
3年前。みーくんが中2の頃、すごく好きな女子、愛理がいた。
愛理は、誰にでも優しくしてくれる、気配りのできるいい人で、みーくんは自分から告白した。
2年生の、4月。桜の木の下で、勇気を出して。
愛理は、それに答えてくれた。
それから、みーくんと愛理の恋がスタートした。
「高橋くんって、優しいんだね。なんか一緒にいると落ち着くなあ。」
愛理の性格には、本当に非の打ち所がなかった。…はずなのに。
この恋は、みーくんをとても傷つける、心を閉ざしてしまうきっかけとなった恋となってしまった。