Part three # 再会 #
「ねえ初音、何でそんなに嬉しそうなの?」
わたしが机に肘をついていると、突然視界に親友ね奉咲明花の顔が映り込んだ。
「そう見えるぅ〜??」
語尾を波打たせて応える。
嬉しそうなのは当たり前。だって、四つ葉のクローバーの約束の男の子に、再会できたんだからっ!
すると明花がじっとわたしの顔を見つめてくる。何かな?
「……失礼なのは承知でいうけど、きもいよ」
明花が若干引き気味でいう。
うん、凄く失礼な言葉をどうもありがとう。
それとも、明花からしたら褒め言葉なのかな?
「……あはは、明花の顔も負けてないよ〜」
満面の笑みで返す。
お互いに褒め合う、礼儀の基本だね!
その褒め言葉を聞いた明花は、
「最低最悪」
そういって、自分の席へと戻っていった。
――あれ?何か間違えた??
そう疑問を持ち、考える前に、またまた視界に一人の人物が映り込んだ。
「颯天くん……」
今度は颯天くん。どうかしたのかな??
「霜月……、昨日の話だけど」
妙に深刻そうな表情(カオ)。昨日の話?はて、何の事やら。
「俺が前ここに住んでたの、何で知ってるんだ??」
それか!
どうしよう、やっぱ変だったよね。聞いたのが間違いだった……。
「えっとぉ……」
わたしがもたもたしていると、颯天くんはどんどんわたしに責めよってくる。
それを後退りして交わすしか、わたしには道がない。
「しかも10年前って、具体的に」
ううう……。逃げ道がないよう。
「もしかして霜月……あの女の子なのか??」
「えっ――?」
……時が、止まった。
颯天くんの声だけが、やけにはっきりと聴こえる。
クラスメートの声や風の音は、もうわたしの耳には届かない。
「いつも一緒に遊んでた……はーちゃん?」
嘘……。覚えててくれたの?
「…………うん、そうだよ。久しぶり――そーくん」
思い出した。
四つ葉のクローバーの約束をした相手の男の子の名前は、そーくん。そーくんだ。
わたしたちは、お互いにそーくん、はーちゃんと呼びあっていた。
「ほんとに……はーちゃんなのか??」
颯天くんが目を見張る。
約束通り、また会えた。いや――会いに帰ってきてくれたんだ。
「やっぱり運命だ……」
ぽつり。わたしがか細い声で漏らした。
それが颯天くんに聞こえたのかはわからない。