奈央と出会えたから。<428>

麻呂 2011-05-05投稿
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『うまい!!』



ギュッッ―ー‐



一言そう言ってから、



聖人は、あたしを抱きしめた。



ギュゥゥッッ―ー‐



うわぁ。



まだまだ序盤なのにっっ、



こんなに盛り上がっちゃっていいの?!



『‥‥‥う゛‥‥。』



『どうした?!奈央?!』



『ぷはぁ―――っっ。』



『???』



『ごめん!!緊張し過ぎて息するの忘れてたっっ。』



『マジで?!』



『はぁ‥はぁ‥はぁ‥‥ああ苦しかった!!』



『ぷっ‥ハハハハハッッ!!』



『そんな笑わなくたっていいじゃんっっ!!』



そんなに笑わなくたって――



テーブルの上には、



聖人が用意してくれたクリスマスケーキと、シャンパングラスが2個。



プラス、あたしが作ってきたオードブル。



『かんぱぁい♪』



『乾杯♪』



あたし達はジュースで乾杯をした。



『クリスマスと言えば、この曲だよな?“クリスマス・イブ”』



『あは。そだね。定番だよね。』



『気付いた?今かけてる“クリスマス・イブ”は、違うアーチストがカバーしてるんだゼ。』



『え?!ホントに?!誰?!誰?!』



『札幌出身のアーチストなんだケド、マジいいだろ?!』



『うんうん!!すごい声量だね!!』



『声楽の勉強も、ちゃんとして来たヒトらしいゼ。』



『へぇ。本格派だね。でも珍しいね‥‥。』



『何が?!』



『聖人ってロックしか聴かないじゃん。』



『ハハハ。そうだよな。俺もそう思う。』



あぁ。今日というこの日に、



日本中の何組のカップルが、



大好きなヒトと一緒に、



素敵な時間を過ごしているんだろう――



決して贅沢な事はなく――



決して特別な事はなく――



ねぇ聖人――



こんなにも質素な2人だけのクリスマスが――



2人にとっては最高のクリスマスだったよね――

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