シンジ達のデブワゴンが第2ゴール地点に滑り込んだのは、22時を過ぎた頃だった。
H温泉のR館というホテルには第1ゴール地点にいた仮面の男と同じ格好をした人物が立っていた。
「参加者だ」シンジは息を切らせながらバッチを男に見せる。
仮面の男はバッチを受け取り、例によってパソコンで確認をした後で口を開いた。
「おめでとうございます。チーム名 石塚クリーニングの皆様は、第2ゴール地点では、第2位でゴールされました」
シンジはうなずいて、メンバーの兄達を見た。
「まずまずの成績だと思う」シンジは何か言いたそうな兄達へ言った。
「チクショウ、今度こそはって思ってたのになぁ」
英彦が悔しそうに唸る。
「それより桃子ちゃん達はまだか?」ヒカルがシンジに言った。
「ヒカル兄は吉原さんより、カンちゃんの方が気になるんだろう?」
「うるせぇ!早く電話しやがれ」ヒカルは図星をつかれて照れているようだった。
「皆様、今日のレースはこれで終了でございます。今夜はこのホテルで宿泊していただきます。次のゴール地点は明朝9時に発表しますので、ゆっくりと疲れを癒してください」仮面の男が頭を下げて言った。
「おっちゃん、ここに一番乗りしたチームはどこ?」
シンジが男に話しかけた時に足音が聞こえた。三人が振り返ると、遼一、美穂、桃子達が走ってきた。
桃子の大きな胸が上下に揺れている。
「ガンバレ!俺達は2位だった。皆は3位だよ」シンジが声をあげる。
英彦とヒカルは桃子の胸に目を奪われていた。
「参加者だ」バッチを仮面の男に渡しながら遼一は周りを見回した。
仮面の男は遼一達の順位を言った後でレースについて先ほどと同じ説明をして頭を下げた。
遼一はシンジと目を合わせて頷いた。
その様子を見て美穂はやっと少し落ち着いた。この二人といると安心するな と思った。
「1位のチーム確認した?たぶんアヤチームだろう」遼一が聞く。
「正解っす。手強いですよ。これは…」シンジが唸る。
英彦、ヒカル、桃子の三人は能天気にはしゃいで大きな声で笑いながら再会を喜んでいた。