大丈夫。
聖人になら――
触れられても大丈夫――
この人にならって――
そう思ったんだ――
『ずっと‥‥こうしていたい‥‥‥。』
あたしの耳元で囁くように――
言った聖人は、あたしを見つめ――
頭を優しく撫でてくれた――
『聖人‥‥?』
もっと聖人に触れられたい――
もっと聖人の事‥‥感じたい――
もっともっと――
『今は、ただ‥‥こうしていたいんだ‥‥‥。』
触れてほしいのに――
『あたし‥‥大丈夫だよ‥‥‥。』
『‥‥俺が大丈夫だって思わないから。』
『え?』
一緒になりたいって思ったのに――
ひとつになれたらって――
『俺が奈央の頭ン中、めっちゃ楽しい事だらけにしてやる。』
『聖人‥‥。』
思ってたのに――
『嫌な事も全て忘れてしまうくらい、
睡眠薬も、不安取り除く薬も、
そんなもン飲まなくてもいいくらい、
めっちゃ元気にしてやる。』
そう言った聖人は、
子供みたいな笑顔で――
『ありがとう。
聖人‥‥大好きだよ‥‥‥。』
あたしは聖人の胸の中で泣いた――
ポジティブなあたし――
ネガティブなあたし――
いろんなあたしを――
聖人は受け止めてくれている――
あたしの全てを受け入れようとしてくれている――
あの忌まわしい記憶も――
いつか忘れる日が来るかもしれない――
聖人となら――
乗り越えて行けそうな気がした――