・・・あれ、なんか足元に転がってる。
なんだこれ。
ああ、そうか。
自分の、死体だ。
教室に入る。誰も俺を見ない。
そりゃそうだ。今の俺は所謂幽霊だ。
昨日まで俺のだった机には花が置かれ、クラスメート達がそれを囲むようにして集まっている。
・・・ちょっと、あんたら。何て顔してんのさ。
皆すっかり暗い顔しちゃって。
死んだら死んだでその後が大変だな・・・。
なんか沈んできた。
もういいや。さっさと成仏しちゃえ。
いつまでもさまよっててもしょうがないしね。
あ、その前に家に寄ってこうかな。
部屋にある恥ずかしい日記、処分しとかないと。
・・・俺を待っていたのは、意外な光景。
あの親父が泣くなんて、天地ひっくり返ってもないと思ってたのになぁ。なんかさっきから、俺おかしいよ。
やっぱ家なんか行くんじゃなかった。
大した未練なんてない。成仏しようと思えばいつだってできる。
・・・はず、なんだけど。
何でなんだろうなぁ。
或る幽霊の噺