第三章
「へぇ、じゃあ二人共、不登校だね!」
不登校は世の中では半端者だと、分かって言っているのだろうか。どうしてもキョウが言うと嬉しそうに聞こえるのだけど。
「キョウは、どうして不登校に?」
「ん?僕は、散歩するのが好きなんだ。」
「散歩が好きだと不登校になるの?」
「学校の椅子に座ってられないんだよ。」
なるほど、と思った。
それは何だか、とてもキョウらしい素直な理由で、何故か解らないけど、嬉しくなった。
あの日から、私たちはよくここに来る。待ち合わせをしている訳ではない。どっちが先に来るかもマチマチ。お互い何となく来て、相手がいたら話しているのだ。
「アスカは、どうして?」
「私は…ちょっと病気だから、って言ってるけど、本当は行くのが億劫だから。」
「億劫?ここには来るのに?」
「億劫。やりたくないことやるの、好きじゃないの。やらなきゃいけないこと、学校には無いと思ってるし。やりたいこと、学校には無いからね。億劫。」
病気もあったけど、それが本当の理由だった。