良太が部活に入ってから約1週間がたった。部活は月・水・金曜の週3回。今日は休み明けの月曜日。ちょうど4時間目が終わり、良太の部活が終わるのを待っていた。
「まだかなぁ〜??」
ブ〜ブ〜ブ〜
ポケットの中で携帯が振るえた。携帯を出し画面を見ると良太からだった。
「良太??」
差出人:良太
件名:
本文:ゴメン。マネージャーが俺のミスで怪我したし、今日から怪我治るまで送り迎えするし、先帰っといて。ゴメンな!!
「・・えっ!!??」
穂茅は走って校門へと向かった。門を出ようとした所で止まった。
「ゴメンな!!わざわざ送ってもらって・・」
「俺のせいで怪我したし怪我治るまで送り迎えするし気にすんな」
(・・この声・・まさか・・)
穂茅はゆっくりと門の外を見た。良太の後ろに座っていたのは筒井さんだった。良太と筒井さんを乗せたバイクは穂茅に気づく事なく、学校の門から離れてすぐに見えなくなった。
「・・・・」
穂茅は黙ったままその場にしゃがみ、暫くの間バイクが走って行った方角を見つめていた。
「あっ、雨降ってきちゃった・・・」
空からは雨がポツポツと降りだし、穂茅は家に帰ろうと歩き出した。しだいに雨は強くなり、穂茅は帰り道にある公園のベンチに座り雨宿りをした。
「ぁたししか座った事無かったのにな・・」
穂茅の脳裏にはさっきの2人の姿が浮かんだ。穂茅はとっさに耳を塞ぎ頭を抱えた。
「っ!!・・・嘘つき・・良太の嘘つきっ!!特等席やって言ったクセにっ!!」
穂茅はベンチを強く叩いた。
━━・・・
『穂茅これ見ろよっ!!』
『ん〜??・・!!単車やんっ!!こんなんどうしたんっ!!??』
『ずっと欲しかったし、ずっとず〜っと金貯めててやっと買ってん♪』
『いいなぁ〜』
『乗せたらへんぞ!!』
『自慢だけかいっ!!』
穂茅は頬を膨らまして、良太に背を向けた。
『嘘やって!!ここは穂茅の特等席な♪』
良太はシートの後ろをポンポンっと叩いた。
『いいん??』
『当たり前やんけ♪』
『ぁたしだけの特等席やしなっ!!約束やで♪』
『はいはい!!約束なっ♪』
━━・・・
ベンチの上の屋根に雨が強く当たり、穂茅は我に返った。
「約束なんか・・するんじゃ無かった・・」
穂茅の瞳から涙が溢れた。
」
穂茅の瞳から涙が