恋心・・第6話「特等席」

ナツキ  2006-09-11投稿
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良太が部活に入ってから約1週間がたった。部活は月・水・金曜の週3回。今日は休み明けの月曜日。ちょうど4時間目が終わり、良太の部活が終わるのを待っていた。

「まだかなぁ〜??」

ブ〜ブ〜ブ〜
ポケットの中で携帯が振るえた。携帯を出し画面を見ると良太からだった。

「良太??」

差出人:良太
件名:
本文:ゴメン。マネージャーが俺のミスで怪我したし、今日から怪我治るまで送り迎えするし、先帰っといて。ゴメンな!!

「・・えっ!!??」

穂茅は走って校門へと向かった。門を出ようとした所で止まった。

「ゴメンな!!わざわざ送ってもらって・・」
「俺のせいで怪我したし怪我治るまで送り迎えするし気にすんな」
(・・この声・・まさか・・)

穂茅はゆっくりと門の外を見た。良太の後ろに座っていたのは筒井さんだった。良太と筒井さんを乗せたバイクは穂茅に気づく事なく、学校の門から離れてすぐに見えなくなった。

「・・・・」

穂茅は黙ったままその場にしゃがみ、暫くの間バイクが走って行った方角を見つめていた。



「あっ、雨降ってきちゃった・・・」

空からは雨がポツポツと降りだし、穂茅は家に帰ろうと歩き出した。しだいに雨は強くなり、穂茅は帰り道にある公園のベンチに座り雨宿りをした。

「ぁたししか座った事無かったのにな・・」

穂茅の脳裏にはさっきの2人の姿が浮かんだ。穂茅はとっさに耳を塞ぎ頭を抱えた。

「っ!!・・・嘘つき・・良太の嘘つきっ!!特等席やって言ったクセにっ!!」

穂茅はベンチを強く叩いた。


━━・・・

『穂茅これ見ろよっ!!』
『ん〜??・・!!単車やんっ!!こんなんどうしたんっ!!??』
『ずっと欲しかったし、ずっとず〜っと金貯めててやっと買ってん♪』
『いいなぁ〜』
『乗せたらへんぞ!!』
『自慢だけかいっ!!』

穂茅は頬を膨らまして、良太に背を向けた。

『嘘やって!!ここは穂茅の特等席な♪』

良太はシートの後ろをポンポンっと叩いた。

『いいん??』
『当たり前やんけ♪』
『ぁたしだけの特等席やしなっ!!約束やで♪』
『はいはい!!約束なっ♪』

━━・・・

ベンチの上の屋根に雨が強く当たり、穂茅は我に返った。

「約束なんか・・するんじゃ無かった・・」

穂茅の瞳から涙が溢れた。



穂茅の瞳から涙が

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