「長村さんは、今の俺の立場をどう思ってます?」
「え?」
「俊作とコンビを解消して、ソロでやっている俺の立場を」
「う〜ん…私的には残念だと思ってますよ。林さんや原山さんや、本馬さんや佐藤さんのコンビの頃のネタを見てた時、すごく面白かったし、なんでコンビって売れてくると、バラ売りして、たまに片方だけ引っ張られるんだろうって…もちろんコンビで活躍してらっしゃる方もいますけど…この業界は、そうゆうこと多いなって…」
「だよね。俺は、和人もそうだけど、会社の方針で、そうなっちまった時、なんで俊作や、琢也は、あっさり身を引いたんだって、今でも思うんですよ。昔は…昔はよく4人で、芸人として、コンビとして、頂点を目指していきたいって、話してたんですよ。情けないけど、今でも未練タラタラなんですよ」
「…そうですか。私は、前の会社でやりたかったこと、結局やることが出来なくて、挫折しました。
私がやりたかったことへの、きっかけをくれた人は…バスケット選手として、将来を目指していて、夢破れて、スーパーの世界で自分のやりがいを見つけたんです。私もアルバイトをしてた時、その人 やりがいってことに、すごく憧れてました…結局挫折しましたけど。でも、恋愛もせずに、新たな道を見つけて、今の私には、その未練を断ち切ってでも、やりたいことがありますよ」
「え?どんな」
「それは、林さんを日本一の売れっ子にすることです。マネージャーとして。私の今の目標は、それです。私…その人に
『将来、どんな生きがいを見つけて、それに頑張っている時に、充実感を見いだせたら、その時、また語れたらいいね』って言われたんです。だから、今の私は、マネージャーとして、頑張るだけですよ」
「…そっか。ありがとうございます。俺も体を張って頑張るよ。多少きつくてもやるよ」
「はい!…今のところ、林さん次第ですけど…プロレスラーと相撲とか…プロレスラーと指相撲とか…プロレスラーと腕相撲とかありますよ…どうでしょう?」
「いずれにしても、ただじゃすまないよね」
「やめときます?」
「それで、長村さんの目標に近づけるならやるさ!」
「本当ですか〜」
「本当だよ」
卓人は、愛の話を聞いて、心のわだかまりが少し晴れたような気がした