デカ女の後をついて歩く。
何だか…。
そわそわしている自分が見透かされてはしないかとそればっかりきになっていた。
何処を歩いてるのかなんて、わからなかった。
「プッ…」
デカ女がふいた。
「ここであなたをひっぱたいたんだっけ!」
「あっ…」
気付くと俺のバイトの通勤道だった。
そうだ。ここが この人との強烈な出逢いで、俺の人生のターニングポイントになるかもしれない原点だ。
我にかえると、俺んちの近所だが…
住んでいるランクの違いに呆然とした。
俺は…デカ女のマンションの前でただ見上げた。
「どうぞ。」
デカ女は、最上階のエレベーターが開くと、玄関は、1つ。
デカ女の家だけの階。
「これ…。賃貸なの??」
「まさか…私の今の給料じゃ無理に決まってるでしょ。」
「…(そりゃそうだ)」
「モデルの時の稼ぎで買ったのよ。外資系はスポンサー料も高いから…」
夢を掴んだものだけが味わえる証拠を見せられた気がした。
家の中は…
広いリビングに真っ白なソファーと真っ赤なソファーが互い違いに並べられていた。
壁には…?
自身のモデルの写真が見当たらなかった。
やはり、心の傷が痛んだままなのだろう。
「自分の写真飾らないんですね」
「うん…。自分自身に監視されているみたいでね…。あっ!でも一枚だけ飾ってあるの」
「みたいっす!」
デカ女は、俺をある部屋の前に連れていくと、そっと部屋の扉を開いた。
そこは 寝室。
12畳は、あるだろうという部屋の中央には、籐でできた、キングサイズのベッドその正面にいちまいの物凄く大きな写真が飾ってあった。
それは、まるで絵のように美しく、圧巻だった。
「奇麗…。」
RIONA の 最高フォト
「いつまで みてるの?」
いつの間にかデカ女は、リビングにもどつてた。
さけのツマミを用意しながら、酒をだした。
「今日は、お祝いだから…。呑み明かそう!」
デカ女のテンションがあがっている。
(俺より)酒の弱いデカ女は、ワイン一本空けると、まぶたを閉じたり…開けたり。
「今日は、ありがとうございます。あんた 眠そうだし、ろれつ回らなくなってきたからそろそろ 帰るよ」
おれは、席を立ち玄関に向かった。
デカ女はふらふら見送りにきたが、途中倒れそうになり、仕方なく部屋へ連れていった。
デカ女は、ベッドに座り込むと、泣き出した。
俺は…抱きしめたくなった。