すると、タクヤがこれからの予定について話し始めた。
「君はこれから、キャバクラに行って気に入られたお客さまから接待を受ける。」
『接待って?』
タクヤはそういうアキに深くため息をついた。
「夜の営み…とでも言うのかな?」
『嫌!私まだ17よ!犯罪よ!』
「無駄口をたたくな。」
アキは、キャバクラへ連れていかれた。
家に戻ったカズヒロは、親を必死に説得した。
「アキが…連れていかれて…もしかしたら酷い目に逢っているかもしれないんだ。だからお願い!銀座まで行く金を貸してください!」
すると、ノリコは
「アキちゃんを心配する気持ちは分かるけど、こっちだっていっぱい一杯なの。分かってちょうだい。」
と、言った。でもアキラは、突然引き出しを開けた。
中には、10万円が入っていた。
「…父ちゃん?」
「つべこべ言わずに受け取れ。アキちゃんを助けるんだ。」
「あ…ありがとう父ちゃん!」
カズヒロは、家を出ていった。
それからしばらく、2人は玄関に立ち尽くしていた。
「ちょっと…いくらなんでも…。」
ノリコはうっすらと涙を浮かべている。
「泣くな。金なら俺が一生懸命働く。」
「でも…10万って…。」
すると、アキラはノリコを怒鳴った。
「お前は、まだカズヒロのお母さんになれていないようだね。」
「…。」
「愛情に飢えていたカズヒロを忘れたのかお前は!」
「忘れたわけじゃないわ…。」
「じゃあ何で10万ぐらいの金をカズヒロに渡してやれないんだ!何でカズヒロを信じてやれないんだ!」
ノリコは、うんうんと、頷きながら納得しているようなので、アキラは
「言い過ぎた…ごめん。」
と自分を落ち着かせた。